開催趣旨について
中小機構では、中小企業や小規模事業者などの円滑な事業承継をテーマとする「事業承継フォーラム」を東京、名古屋、大阪の3会場で開催しました。
事業承継とは、文字どおり「事業」を信頼できる後継者に承継していくことです。事業を続けていく上で、すべての事業者が必ず直面する大きな問題といえます。
この30年間、相次ぐ倒産や廃業などにより、毎年平均5万社ずつ減り続けています。
これらは赤字が膨らんで事業から撤退した企業ばかりではなく、黒字企業や将来的な事業の拡張が見込まれる企業にもかかわらず、事業承継の準備不足や後継者不在などを理由に廃業せざるを得なかったケースも含まれています。
こうした現状を踏まえ、皮切りとなった東京会場では、中小機構の高田坦史理事長が登壇し、やむを得ず廃業に追い込まれてしまった中小企業・小規模事業者が多い現状への危機感を挙げるとともに、事業承継はBCP(事業継続計画)における最大の課題であるという認識を示しました。続いて登壇した経済産業大臣政務官の平木大作氏は、経営者の高齢化や後継者不在といった状況から、将来の日本経済への影響を危惧し、事業承継対策を最重要施策の一つとして取り組んでいることを明らかにしました。
なぜ事業承継が進まないか
東京会場では、中小企業庁長官の安藤久佳氏が「事業承継の集中支援」をテーマに、今なお経営者の若返りが進んでいない現状や、若返りによる生産性の向上についてデータを基に説明しました。さらに、事業承継が進まない問題として、「会社経営に注力することで、事業承継を考える余裕がない」「誰に相談していいのかわからない」「何から始めていいかわからない」という三点を挙げました。
経営者の方には事業承継について早め早めに考えていただくことが一番大事であるとした上で、今後10年程度を事業承継の集中実施期間として支援を行うという力強い言葉がありました。
基調講演とパネルディスカッション
東京、大阪、名古屋の全会場で、事業承継を経験された経営者や、現在、事業承継に取り組んでる経営者、後継者の方々に登壇していただきました。
基調講演では「未来を見据え、後継者を育てる」、パネルディスカッションでは「いつ、どのように行うか。後継者の育成と次世代に向けた仕組みづくり」をテーマとして、実体験に基づくメッセージを発信していただきました。具体的な内容は、基調講演、パネルディスカッションともに、エッセンスを動画にまとめています。これから事業承継に取り組む経営者の方々にとって、きっと参考となることでしょう。