円滑な事業承継と会社の成長を強く願う
中小企業・小規模事業者の皆様へ

令和2年度
事業承継ォーラム

持続的な成長のための事業承継とは

─ 開催レポート ─

このページの動画

[基調講演]「持続的な成長のための事業承継とは」

基調講演

「持続的な成長のための事業承継とは」

旭酒造株式会社 
会長 桜井 博志 氏

[パネルディスカッション]「事業承継が描く企業の未来予想図」

パネルディスカッション

「事業承継が描く企業の未来予想図」

株式会社恵比須堂 
前社長 中道 直 氏

有限会社ワークハウス 
代表取締役社長 嶋田 祐介 氏

[パネルディスカッション]「事業承継が描く企業の未来予想図」

パネルディスカッション

「事業承継が描く企業の未来予想図」

ミツフジ株式会社 
顧問 三寺 康廣 氏

代表取締役社長 三寺 歩 氏

開催概要

自然災害、新型コロナ・・・
リスク対応に追われて
いないか?
事業承継は後回しの
課題ではない

中小企業経営者の平均年齢は、2019年に59.9歳(帝国データバンク「全国社長年齢分析」より)に達し、60歳以上の経営者が増加傾向にあることが、データからも明らかになりました。このような経営者の高齢化により、中小企業の休廃業や解散がいまなお増え続けており、毎年4万件を上回る数で推移しています。(中小企業庁発表「中小企業白書(2020年版)」より)

廃業の原因は経営者の高齢化だけではありません。近年は台風や震災といった自然災害の脅威に加えて、2020年は新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るったことで、従来の⽣活様式や勤務スタイルが一変した年でもありました。

このように企業を取り巻く状況が刻々と変化しており、経営者は新様式の事業のあり方への対応が早急に求められています。そうしたことで、事業承継の問題はどうしても後回しにしてしまいがち、といったケースも少なくないでしょう。

しかしこのままの状態が続き、中小企業の倒産・廃業が増えると、将来的に数百万人規模の雇用が失われるだけでなく、GDPが縮小する可能性があるともいわれています。

最悪の事態を引き起こさないためにも、国内産業を支える中小企業の事業承継は、いままさに喫緊の課題といえるでしょう。

独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)は、事業承継を見据えた中小企業の経営者や後継者のみなさまに向けた「事業承継フォーラム」を毎年開催しています。

令和2年度はライブ配信形式による開催になりましたが、参加者の方々の熱意あるコメントを通じ、例年にも増して事業承継の関心の高さがうかがえました。

それぞれの講演の模様は、下記の動画をご覧ください。

キャプチャ1

キャプチャ2

キャプチャ3

基調講演

「持続的な成長のための
事業承継とは」

酒造りに改革をもたらし、会社を成長・発展させた旭酒造株式会社 会長の桜井博志氏が登壇。現在のコロナ禍を切り抜けるために経営者がすべきこと、会社の未来や次世代の経営のあり方、後継者(新社長)の資質などについて語っていただきました。

旭酒造株式会社 会長 桜井 博志 氏

1984年、二代目蔵元(父)が急逝。それまで売り上げが低迷し、経営状態が悪化していた当時の会社を博志氏は34歳のときに受け継ぎ、代表になると即経営手腕を発揮した。

20代の若手社員を杜氏に起用したり、一年を通して酒造りを行う四季醸造を採用したりすることで、これまでの日本酒製造の常識を覆す改革に着手。業界の一部からは“伝統を壊した”と非難されたが、それがむしろ現在の「獺祭」の完成度を高めるための最適な手段となった。

「獺祭」は純米大吟醸の製造に特化し、世界的なSAKEブームの一端を担うプレミアムな日本酒ブランドとして海外から注目を集めているが、現在はコロナ禍により取引先である飲食店が相次いで自粛しており、経営状態は本来の調子とは言い難い。しかし、むしろ現在の状況を「変わっていくときにチャンスがある」とポジティブにとらえている。日本酒の文化・伝統を次の世代に継承するために、彼が目指したものとは。

桜井 博志 氏

旭酒造株式会社
会長
桜井 博志 氏

1950年山口県周東町の酒蔵の長男として生まれる。酒造メーカーに務めた後、旭酒造株式会社入社。1984年旭酒造株式会社代表取締役就任。1990年「獺祭」発売。杜氏制度を廃止し社員による酒造りを行う。2014年日経BP社 第13回 日本イノベーター大賞 優秀賞受賞。2016年旭酒造株式会社会長就任。2017年から旭酒造ホールディングス株式会社社長就任。

パネルディスカッション

「事業承継が描く
企業の未来予想図」

事業承継が成功する決め手となるのは、経営者と後継者の理解度を深めることにあるといえるでしょう。

経営者は後継者にどんなことを託したいのか、後継者は経営者の何を守り、何を変えていきたいのか。

今回のパネルディスカッションに出演したのは、事業引継ぎ支援センターの紹介で第三者に事業承継した和菓子製造業「えびす堂」と、親族内承継で父から息子に事業を承継した最先端機能性繊維メーカー「ミツフジ」の二組。

事業承継のケースこそ違いますが、経営者が考える企業のあり方と、後継者の改革の意識について、とても興味深い話を聞くことができました。

① 親族外承継:えびす堂(有限会社ワークハウス)

〈パネリスト〉

中道 直 氏

株式会社恵比須堂
前社長
中道 直 氏

1950年生まれ。1917年創業の株式会社恵比須堂の老舗3代目として1983年に同社従業員から株式譲渡により社長就任。以降、「羽二重餅」や「けんけら」等の福井を代表する銘菓の伝統を守りながら最盛期には売上1億円を超える業績を上げてきた。自身の年齢が60代半ばとなり、体力の限界から事業承継を考えたが、親族・従業員の中に引き受け手は見つからず、2017年9月に福井商工会議所から福井県事業引継ぎ支援センターを紹介され、第三者承継を決めた。

嶋田 祐介 氏

有限会社ワークハウス
代表取締役社長
嶋田 祐介 氏

1985年福井県生まれ。21歳の時に運転代行業で起業。その後、貿易業、IT事業などを経て、2015年、父親の急死により立ち上げ1年半のワークハウスを引継いだ。福祉×和菓子製造の新しい取り組みを目指し2018年にえびす堂を買収。新しいブランド構築を目指して新商品の開発にも力をいれている。えびす堂をきっかけに、福祉会社、カフェのM&Aを2件行い、現在は福祉分野を中心に、カフェ、不動産事業などを展開する。社員は現在85名(パート含む)。

② 親族内承継:ミツフジ株式会社

〈パネリスト〉

ミツフジ株式会社
顧問
三寺 康廣 氏

三寺 歩 氏

ミツフジ株式会社
代表取締役社長
三寺 歩 氏

1977年生まれ、京都出身。立命館大学在学中には海外向けネット書店を立ち上げ、海外在住の日本人向けビジネスを展開。大学卒業後、松下電器産業(現・パナソニック)に入社。シスコシステムズ、SAPジャパンなどを経て、2014年9月三ツ富士繊維工業株式会社(現社名ミツフジ株式会社)の代表取締役に就任。

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